雪解けのヨセミテ  2006年の旅 
3年前にも訪れた北米カリフォルニア州のヨセミテ国立公園

前回は夏だったけど5月は雪解けの季節。
きっと違った姿を見せてくれるだろう。
連休も終わって航空料金も下がった5月23日、妻と日本を旅立った。
シーズンオフなら往復6万円でいけるが原油が値上がりし2万円ほど上乗せになった。

現地での移動やホテル等サンタクララ在住の息子夫婦が確保してくれた。今回は総日数9日、ヨセミテで3泊4日の余裕ある日程である。

津のなぎさまちから高速艇でセントレアへ。この季節なら台風で欠航する心配は無い。

ところがセントレアでハプニング。
成田行きの飛行機(ノースウエスト)が機体不具合で欠航。重い荷物を持って新幹線で成田まで行く羽目になった。費用は後で航空会社から返還されるが時間がかかってフライトタイムぎりぎりでアメリカ行きに搭乗できた。やはりトラベルにトラブルは付きものだ。でも不安な機体で飛ばされるより安心だ。

機内食をいつもながら
運動不足の身体に詰め込む。

昨今は乱気流対策でシートベルトがはずせず、ほとんど動けないのはつらい。
これがなければ海外旅行は快適なんだけど。

それでもやっとサンフランシスコに近づいた。
米国への入国審査は厳重だと聞くがあっけなくパスした。
もうこの歳ではテロリストに見られないからな。
息子の運転する車でヨセミテに向かう。

カリフォルニアはいつも青空
カラッとした気候が毎日続く。
草原の草も緑より黄褐色が多い。
日本はまもなく梅雨の季節だ。
美味しいお米をはぐくむ雨は日本の風土に欠かせない。

再びやってきた風車地帯
何百基という風車が林立する。
ゆっくり回転する様はいつ見ても絵になる。
標高2000mを越え気圧が変わり耳が痛む。
5時間のドライブの後、1000mの絶壁が見えてきた。
巨大な水塊がゆっくりと落下していく。
さすが夏にきたときとは水量がちがう。

まだ山頂は厚い雪におおわれっている。

ヨセミテ滝
近くまで歩いてみた。
次第に轟音が迫ってきた。
滝壷近くは横殴りの暴風雨だった。
雨具をつけなければ近づけない。
空気を巻き込み落下した水塊は、はじけ散り
強風をつくり巨大な水煙となる。
濁ってこそいないが谷川を駆け降りる洪水。
果てしない山岳地帯からの雪解け水である。
森はちょうどハナミズキの季節
それも日本のより花弁が大きい。
自然のままの群落が続く。
翌日はバーナル滝へ向かった。
あふれんばかりの水を運ぶ川をさかのぼる。
遠くに滝が見える。
夏には涸れていた滝だ。
山頂には雪が残る。
今まさに雪解けの真っ最中だ。
虹のかかる滝壷近く。
猛烈なしぶきの中
雨具をつけての歩行である。
滝の上部は急流が続く。
落ちたら確実に遭難だ。
夏と違って水遊びなどできない。
午後は残雪のセンチネルドームへ登った。
除雪作業が終わり、その日から開通したばかりのグレイシャーポイントロードのおかげで行けたルートだ。

残雪を踏んでのハイキングとなった。


ドームの半分は雪面でもし滑ったら1000m下の
谷底だから一歩一歩慎重に登った。
はるか下に昨日見たヨセミテ滝が小さく見える。

ドームの先端には誰もいなかった。
家族4人だけの別天地が広がった。
四方100kmが見渡せる。
まだ雪山の世界だ。
この場所に再び来れたこと、運命の導きに感謝しよう。
有名な松の枯損木が残る。
寒冷で乾いたここでは腐食が進まず何百年と残ることだろう。
ヨセミテのシンボル、ハーフドームも下方に見える。
いつかはあの頂上に登れるだろうか。
夕闇迫るグレイシャーポイントに立つ。
夕日にもえるハーフドームを観ようと
多くの人が集まっていた。
太古の昔、氷河で削られ半分になったことから
ハーフドームと呼ばれている。
翌日はハーフドームの直下
ミラーレークを一周するコースを歩いた。
雪解けの水あふれるこの時期は森の
あちらこちらに生命の息吹が感じられる。

リスが遊びハナミズキの群落の森が続く。
かっては大洪水で荒れ果て廃道となったこのコースもよく整備されていた。
絵葉書にもなる風景が続く。
水の動きがあって鏡面とは言いがたいが
ミラーレークはヨセミテの奥座敷だ。
翌日は巨木の森へ。
ジャイアントセコイアの森が広がる。
アメリカでは何でもデカイ。
松ぼっくりもこの通り。
この松毬も法律で保護され持ち帰りは、ご法度だ。
さらばヨセミテ
今度はいつ来れるかな。
還暦に再び来ることを目標にしよう。
そのときはハーフドーム登頂かな。
サンタクララのファーマーマーケット
近くの農園から山積みのフルーツや蜂蜜が持ち込まれてくる。

やはりカリフォルニアは農業地帯だ。

サンタクララはシリコンバレーの中心地
半導体産業で活き活きしている。
これはYAHOOのビル。
他にもGOOGLEやINTEL、MCAFEEなど
おなじみのビルが続く。
少し南の小さなまちサリナス
ジョン・スタインベックの生誕地である。

ジョン・スタインベックセンターには膨大な資料が並ぶ。
1920年代には貧しかったこのあたりもいまでは全国にキャベツやレタス等の野菜を供給する農業のまちだ。
少し南のまちモントレー
海辺に面した観光のまちだ。
明るい日差しと青く透明な海がつづく。
レストランのクラムチャウダー
変わっているのはパン地に盛り付けられていること。
ふやけたパン生地を一緒に食べるのも美味しい。
カリフォルニアの松島?
景観の規模ではヨセミテと比較にならないが
裕福層の邸宅が並ぶ一帯だ。
夕刻も8時過ぎ、サンセットを楽しむ。
静かに暮れていく夕べのひととき。
地球の大きさを実感し人間の営みの小ささ、むなしさ
そして素晴らしさ
また明日への時間が始まる。



さあ、いよいよ日本に帰るときがきた。
楽しかった9日間、あっという間に過ぎた。
息子夫婦にはほんとにお世話になった。
おかげで楽しい思い出を残すことができた。

還暦にはまた迎えてほしいな。

じっと狭い席で耐えるだけの帰路。

また日本で日常の生活に戻ろう。

おわり

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