加太の奥深く 分水嶺を往く  2008年7月10-11日
亀山市と伊賀市と津市の接する一帯
加太の奥深くの山々が連なる。
市境に沿った分水嶺を歩いてみた。
普段は誰も入らない一帯だ。
今回も誰にも会うことが無かった。

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こうもり(蝙蝠)峠から柚の木峠まで総長7.5KM 起伏に富んだ複雑なコースだ。標高は700m以上、鈴鹿山系から離れたマイナーな一帯である。

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用意するものはたくさん、
一日ではとても無理でテント泊となる。
食料、水、テント、寝袋、蚊取、サーチライト、雨具にコンパス、無線機、非常用品等10kgを越えた。

行程中の食事は初日の昼はコンビニのおにぎり。夕食はカロリーメイトと塩分補給に塩コンブ。歩行中は揚げそら豆とちょっと味気ないが重量を抑える為には仕方がない。今回は夏季の尾根歩きなので水を3リッター持った。これが重い。

柚の木峠に自車を置き、こうもり峠まで友人の車で送ってもらった。
ここは大山田に抜ける近道でもある。
サポータの友人との別れ。
「ポイント毎に連絡するからね。」
市境の分水嶺
これからは右足は伊賀市
左足は亀山市を歩くことになる。
曇ってはいるが天候は良好
風も涼しい。快適な尾根歩きだ。
これは送電線の巡視路
よく整備されていて助かる。
遠くに旧25号線沿いの山々と採掘で破壊された山が見える。
貴重な水源の森、地域の宝でもある。
子々孫々まで残さなければならない。
季節には少し早いがもうキノコが。
朽ちた樹木を再びよみがえらす大切な存在である。
国境(くにざかい)だったのか。
しっかりした標石である。
途中のピーク「小笹の峰」と命名されている。加太の森林パークから山道を延々とたどるとこの地点を経由しさるびの温泉近くに出ることができる。
かっては山仕事の人々の往来した交差点でもある。
テント場に適した平地もあった。
シカにより樹木の表皮がはがされている。
今回の旅でも3回シカに遭遇した。
カメラを構える間もなく逃げていった。
昔は大山田との交易に使われたらしい峠越え。今は完全に廃道となっていた。
亀山市と津市と伊賀市の入り組んだ一帯。地形が平坦でルート読みが、極めて難しくコンパスを何度も見て進んだ。

この一帯こそ鈴鹿川水系、安濃川水系、伊賀へと流れる服部川水系へと分かれる分水嶺の交点である。
こんな山旅に方位コンパスは必須のアイテムだ。今回のため用意したコンパス
2000円ほどするが地図でセットすれば目的の方向に誘導してくれる。
ルートを谷川に取りすぎ沢に出た。
水の補給には良いが再び登り返す事になった。
夕刻迫る頃、ようやくテント泊予定の3角点峰、五嶺山に到着。
今日はよく歩いた。
誰もいない静かな夜を過ごした。
でもたまにはこんなのも楽しい。
無線でサポータの仲間と連絡し無事を知らせる。

シカ君くらいは訪ねてくれるかと期待したが誰?も来なかった。

朝は6時30分に出発。
昨日より天候は悪そうで湿度も高く今にも降りそうだ。
ワラビに覆われた広大な尾根一帯
春に来たらいっぱい収穫できそう。
でもここまで上ってくるのはたいへんだ。
痩せ尾根の下りが続く。
雨の降る前にゴールできればいいが。
錫杖ヶ岳が見えた。
もう少しだ。
車が見えるのに先は絶壁
容易に降りられない。
こんなとこで事故したら苦労が水の泡だ。慎重に下降ルートを探す。
無事全コースを踏破した。
亀山の水源地帯は実に広大で奥深い。
かけがえのない命を育む天然の浄水器である山々に、旅の無事を感謝しよう。

そして、サポータの皆さんありがとう。

 

最後までごらんいただきありがとうございました。    仙の石
    amani@helen.ocn.ne.jp