北鈴鹿縦走の記録

2006年7月29日から8月1日まで鈴鹿山脈の縦走にトライしました。悪天候に阻まれ全工程の1/3もいけませんでしたがいちおう記録として残します。

昔から一度はやってみたかった鈴鹿の縦走。時間が自由になった今、単独行で計画した。独りでは危険だといわれるが、20年近く、ほとんど単独で歩いてきたから自由気ままに自然と一体化して歩く魅力は捨てられない。幸い無線で定時交信してくれる友人のサポートも得られた。

 

単独行だから持てる荷物は限られている。
テントと寝袋、エアーマットそれに食料は必須で重量の大半を占める。
ラジオとかサーチライトもいるし携帯電話も高所では圏外なので小型の無線機も用意した。デジカメとタイムシャッター機能を生かすのにミニ3脚も必要だ
これでちょうど10Kg
これに水が2.5Lで私には担げる限界である。それと写真にはないが2本の登山用ステッキ。両手で身体を支えるのは滑りやすい斜面の歩行に絶対必要だ。

スタートは北鈴鹿の藤原岳から最終は亀山の仙ヶ岳まで延々50Kmの尾根を歩く計画。もちろん天候と体調、体力に逆らわずに無理をしないことにした。


でも今回は惨めな結果に・・・・。

ずっしり重いリュックを背負って家を出た。
JR亀山駅まで歩き、富田駅まで。
近鉄富田駅まで行き三岐鉄道に乗り換える。終点の西藤原駅まで乗れば藤原岳の登山口だ。

電車から見るこれから歩く山々の稜線
天候がよければいいが。
終点の西藤原駅
もっぱら藤原岳への登山口として使われている。雪が解ける春には花を求めて首都圏からの登山者(特に女性群)であふれる。でもこの時期は利用者もまばらだ。
大貝戸の登山道はこの鳥居から始まる。
旅の無事を祈りもくもくと歩き始めた。
この地域にはヒルが多い。
靴先に登って来る吸血鬼
ヒルに注意しながら高度を上げる。

さすがポピュラーな山だから途中はこのように標識が充実していた。
このあたりで突然雨が・・・・
雨具は持ってはいるが汗で内部から
濡れるのがいやなのでそのまま歩く。
夏の登山だから寒くはなかった。
衣類は濡れても晴れたらすぐ乾くだろう。
美しい樹林だ。

秋には紅葉が見事なことだろう。

雨も小雨になった。
下界が広がる。
このまま晴れてくれ。
また降ってきた中、避雷針も付いた避難小屋横にテントを設営
これで雨をしのげるし雷雨でも安心だ。
ヨーレイカのテントは2Kgと軽いし設営も3分で可能。
展望丘はガスにかすむ。
霧雨の中、テントで夜を待つ。
夜が更けると雨も止んだ。
外が明るい。月夜かと思ったらなんと市街地からの光が雲を照らしていた。
これが光害というやつかな。
大名古屋の光が一望に見えた。
翌朝は晴天。
夏の日差しがまぶしい。
濡れた服とテントを乾かす。
心地よい風の中、1時間経たずでカラリと乾燥した。
展望丘への途中
笹枯れが目立つ
以前来たときは視界をさえぎる笹だったのに。自然のサイクルか、それとも酸性雨の影響か?
藤原岳展望丘に到着
素晴らしい眺めだ。
これから歩く稜線が一望に
先は長い。
石灰岩の採掘が進む東側
惨めな光景だ。
急斜面の縦走路
とてもハイキング気分では歩けない危険なルートだ。細心の注意を払って降下する。
迷い尾根と称される部分
確かに道標がなければ確実に迷う。
治田峠に到着。
まず西側のイセ谷に降りて水を確保することにした。
恐ろしく急で荒れた道
これがかっては村(茨川)の交易に使われていたとは信じられないくらい。
遠く前に廃村となった茨川集落
人々はどんな思いでここを行き来したのだろう。
春にはイワウチワの群落が見れるだろう。

重いリュックが肩に食い込むのでゆっくりと歩を進めた。
銚子岳との分岐
縦走路には親切な案内板が掲げられている。
鈴鹿らしい樹林が続く。
下草と広葉樹林のバランスが絶妙だ。
静ヶ岳の分岐を過ぎたら高所なのに池が現れた。
竜神が宿っていそうな古池である。
いかに私でもここでテント泊は遠慮したい。
竜ヶ岳山頂に到着。360度の見事な眺めだ。琵琶湖の対岸まで見える。
単独行の若者がいてしばらく話し込む。
見知らぬ登山者と話し合うには単独行が一番である。

よく歩いた。早速テントを設営。
快適な眠りになりそう。
地上サポータのHさんとも無線で快調に交信できた。さすが1099mの山頂だ。
夜半から雨になった。朝になっても降り続いている。そのまま昼頃までまどろむ。
外で人の声がした。3人の若者が雨の中ホタガ谷から登ってきた。もう昼食の時刻だ。

若者たち、ヒルが身体に付いていると大騒ぎしている。
なんと彼らは股間にまで侵入されパンツが血まみれだった。

この写真は彼等にシャッターを押してもらった。

山頂では水がないので石榑峠まで下降。
水を確保し平地があった滋賀県側にテントを張る。霧雨は降り続く。
前進をあきらめここで1泊することにする。

夜は強風と雨。最悪の天候だ。
滋賀県側では無線がつながらず三重県側に歩いてHさんに無線で無事を報告する。
夜が明けたが雨は止まず。
これから先のコースは背丈を越す笹のかき分けとなる。視界のない中での前進は自殺行為だ。ラジオの天気予報では翌日も霧は晴れないらしい。
残念だが今回の縦走は断念することにした。

びっしょり濡れて重いテントを撤収し車道を降る。この雨の中、登山道を降ればヒルの猛攻にさらされる。距離は長いが舗装道路が賢明だ。

まだアジサイが残っていた。
霧雨の中、アジサイが映える。

宇賀渓の近く
国道421号線のトンネル工事が始まっていた。雨の中、働く人々。ご苦労さんなことだ。
宇賀渓入り口でタクシーを呼び大安駅へ。
あとは三岐鉄道で富田へ戻りJRで帰宅した。
挫折に終わった縦走の勲章は足首へのヒルの噛み痕、1箇所。このくらいで済んだのはラッキーだった。

またの機会に再挑戦しよう。

おしまい