面白かった話
猫食った
最初に住んだアパートの周辺には子供たちがたくさんいた。
学校の夏休みは6月の初めに始まりなんと8月の終わりまで休みである。
こうなると子供たちが暇をもてあそんで悪さを始める。
ある日誰かドアをたたくので出てみると小学生らしい女の子が3人
「Have you seen my cat?」と聞く。
最初は早口なので聞き返すとからかったように笑い出した。失敬なやつらだ。
それでも一応「I don't know.」と答えて引き下がったがその後も何度かドアを
たたき「Have you seen my cat?」と来る。
ついに怒って脅かしてやろうと考えた。
いつものようにやってきた彼女ら「Have you seen my cat?」
ときたので「Your cat? I ate your cat.」と言ってやった。
彼女ら驚いたのなんのって。
全身で「Have you eaten cat?」なんて言っていた。ざまあみやがれ。
後日談:日本人は猫を食べるなんて誤解されたままではいけないから
後であれはジョークだって言って浮世絵のコースターをやったら
大喜びして御礼だって自分の写真や自家製のシロップ漬けを持ってきた。
その後は奇妙な友達となった。
近所の小学生。
みんなデカイ。 |
カルシウムとカーボン
友人たちとホームパーティをするので小エビで天ぷらを作って持っていくことにした。
小さなエビなので皮のまま揚げた。
ひと口食べた彼ら突然シェルがあると言い出したので「No problem, it is calcium.」
と言ったらカルシウムは牛乳で取るからシェルはノーサンキューだって。
日本ではカニのシェルだってカラカラに揚げて食べることだってあると言ってやった。
数日後彼らとキャンプファイヤーをやった。
そしたら彼らソーセージやマシュマロを持ってきて木の枝に刺し火であぶって食べだした。
スモアー(Some more 美味しいからもっと欲しいの意味)と言う伝統的なアウトドアーの
楽しみなんだそうな。
ためしにマシュマロをあぶったら火が点いて炭になってしまった。
こんなものカーボンではないかって言ったら「ノープロブレムおまえはカルシウムだって
食べたじゃないかとやられた。
スモアーを楽しむ友人たち |
オーイ! ビフテキは?
最初に海外出張したときシカゴ空港での国内線への乗換えがわかりにくいから会社の
労務担当者が気を利かせて旅行業者の現地案内を手配してくれた。
彼が言うにはミートサービスとなっているから待ち時間にビーフステーキをおごってくれるよ
だって。
さて現れた中年の日本人女性、慣れた様子で乗り換え便のターミナルまで案内してくれたら
「ではお気をつけて」と去っていった。おい、ビフテキは?と声に出かかったその瞬間、
ミートサービスは「meat service」でなく「meet service」だと気づいた。
あわや生体燻製に
単身赴任は辛い。晩飯も自分で作らなければ誰もやってくれない。
日本なら外食も良いがファーストフードは別にしてレストランに男一人で入る人は滅多に
見ない。ほとんど家族連れだ。
冷蔵庫にあったチキンを醤油で煮付けることにした。
レンジにかけてちょっと一休みと隣の部屋のソファーに腰掛けた。
そうしたらいつのまにか夢の国に旅立った。
けたたましい音が夢の中で響いた。何が起こっているのか覚醒するのにしばらく時間
がかかった。猛烈な煙があたりに立ち込め天井からブザーが響いてくる。
煙は台所のレンジからだ。あわてて鍋を洗い場に移しコンロを切り、天井についている
煙感知器の音を止めようとした。やっとのことで電池を抜き取り次は部屋中に充満した
煙を抜くのにすべての換気扇を回し窓を開けた。
猛烈な煙が室外に流れ出した。
誰かが見たらきっと火事だと騒ぐだろうが幸い近くに誰もいなかった。
煙感知器も幸い管理人室には連結していなかった。
でももしあの感知器が設置してなかったら私は確実に生体燻製となっただろう。
変なもの食わせた
海から遠いオハイオでは魚といえばサーモンや川魚のキャットフィッシュ程度だ。
どちらも鮮度が落ちていて私には美味とは思えなかった。
当然干物の類など売ってもいないしこの地の米人にはなじみが無い。
そこで彼らに干物を試そうと一時帰国したときにイカやタコやアジの乾物を持ってきた。
日本では珍味として何処でも売っている袋入りである。
試した面々はいつもの友人家族の男女6人である。
スルメイカをちょっとかじった彼らビーフジャーキみたいと言いながらちょっとだけ
食べた。でも前回試したイカの天ぷらの方が良いそうだ。
次にタコの珍味をこわごわ試した彼らちょっとだけでノーサンキューときた。
やはりタコは形から気色悪すぎてだめか。
次に味付けしたアジの干物をちょっとだけ口にした奥さん、突然口を押さえてキチンに
吐きに走り去った。同時に隣の部屋に駆け込んだ若い彼、これと同じ臭いだって叫びながら
持ってきたのは熱帯魚の餌だった。