保全屋おもしろ話      TOPページに戻る


工具泥棒との闘い      


保全業務の者にとって一番腹が立つのは自分の工具を盗まれたまたは無断で
持っていかれたときだろう。道具は自分たちの命であり身体の一部なのだ。
「犯人を見つけたらただじゃおかんぞ。八つ裂きにしてやる。」とカッカきて仕事も
手に付かない。当然全ての工具に名前を刻み込み工具箱には鍵をかけるが
それでも希に盗まれることがある。

実例:最近工具泥棒が頻出する。明らかに内部の者の犯行だが現行犯で捕まえ
なければ意味が無い。そこでダミーの工具箱を起きそっと釣り糸を延ばし探知箱
につないだ。探知箱にはカメラが入れてあり釣り糸が引かれるとシャッタを押す
ようになっていた。同時に内部に無線の発信機をセットし保全の詰め所の受信機
に警報を出すようにした。

何日か後、突然真っ昼間に警報がでた。それっと駆けつけたら他部署の課長が
道具探しをしていていた。


トホホのはなし

課長>明日は社長がお客様と工場視察に来るぞ。我々のラインは5Sを
    完全にしておくこと。わかったな。

部下>はいっ課長!明日までに機械はぴかぴかに掃除しておきますから
    安心してください。よし高圧洗浄機を持ってこよう。

部下>これはすごい。どんな汚れも簡単に落ちるぞ。それに手間も要らないし
    何より早い。保全は機械の電気回りの掃除に使うな、なんて言っていたけど
    大丈夫さ。それにいちいち手作業で機械を拭くなんて時代遅れさ。

工場長>課長、いよいよ視察だ。おまえのラインは完全に動いているだろうな。

課長>任してください。機械はぴかぴか。稼働率は100%です。

部下>課長大変です。突然モータから煙が出ました。保全の話ではモータの
    なかに水が入っているそうです。

課長>なにっ!もう視察が始まったぞ。何て言うことだ。

工場長>課長!おまえの管理はどうなっているんだ。視察後の懇談会で
      設備の稼動が悪いと社長から叱られたぞ。

課長>申しわけありません。高圧洗浄機で掃除をしたときにモータに水が
    入ったようです。

工場長>ばかもん。そんなこと言い訳になるかっ!視察のときに設備を
      完全稼動させるのは最優先なんだよ。

部下>せっかく機械をきれいにして視察を待っていたのに全て水の泡だ。
    こんなことなら保全の言うことを聞いていたら良かった。トホホホ



糞尿まみれ

その1

浄化槽の水中ポンプのメンテナンスは嫌な仕事だが保全屋の宿命でたまには
やることになる。
マンホールを開けると猛烈な臭い。何といってもナマがそのまま流れて来るのだから。
注意深くポンプの鎖を引き吊り上げる。場合により配管とポンプのセルフジョイントが
外れなかったりして苦戦することもある。上手く吊り上げ成功したら直ちに水洗いする。
たいていはその場で予備品に交換し不良のポンプは修理に出す。
今まで各種の水中ポンプを使ってきたがやはりカッター付きノンクロッグタイプ
すなわち詰まり防止構造に限る。ストレーナ等は煙草の吸い殻からポリ袋まで
更にはここに書けないようなあらゆる種類の異物ですぐ詰まってしまう。
まあそれでもこの種の専用水中ポンプのおかげでかなりメンテは楽になった。

その2

もう何年も前になるが、工業用水の井戸を断水させて工事をした次の日のこと。
水道管直結の水洗トイレがあった。警備員が用を足しに入ると断水中に使用した者がいて
こんもりと盛り上げてあったそうな。
断水は終わったのだから流そうとレバーを押したとたん管内にたまっていたエアーが
一気に噴出。警備員は全身他人の糞まみれ。風呂に入るため飛んで家に帰ったとか。
まあ他人事だと思えば笑い話だが本人には気の毒な話だ。



蛇退治

ある暑い夏の日の夕刻工場内に蛇が入ってきた。
おばさん連中がキャアキャア騒いでいる。
こんなのが電装盤に入り込んだら厄介だ。
何とか隅に入り込まないよう追い回しやっとほうきで押え込んだ。
ビニル袋を持ってきて放り込みやっと生け捕り成功。
でもこの厄介ものどうすれば良いか。
近くに放して変電室に入られたら事故の元だからちょっと残酷だけどアルミの
溶解炉に放り込んで生体火葬にしてやろうとそのまま溶解炉の方に持っていった。

そこで出会った工事業者のおじさん。蛇は殺したらいかんだって。俺が遠くへ
放してくるからくれと言って袋から出すとアレアレと思う間に自分のポケットに
ねじ込んだ。命拾いしたあの蛇くん、その後どうなったかはわからない。
でもあのおじさん巳年だったのかな。

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