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ある小春日よりの日、仙ヶ岳南尾根を登りました。 |
冬、裏山の林は静かに眠る 凍てついた朝、青く澄み渡った空の下 田んぼも畑も雪化粧 春を待つ樹木はひときわあざやかに 遠くに見えるのは鈴鹿の山なみか |
藪柑子(やぶこうじ)
正月(新年)の飾り、また古くからの庭の下草として利用されている馴染みの深い常緑の低木です。万葉の時代から「山橘」「藪橘」と呼ばれていました。
名の由来は、赤く小さな実が柑子(みかんの古名)に似ていたからとされています。
「千両」「万両」に対して実が少ないことから「十両」とされ、別に「百万両」と呼ばれる仲間もあります。
冬の色合いの少ない季節を楽しまさせてくれる植物のひとつです。
この雪の消え残る時にいざ行かな 山橘の実の照るも見む 大伴家持(万葉集)
この種は、古くから葉の形や色、そして斑入り等の突然変異を古典園芸として珍重され現在も多くの種が栽培されています。
藪蘇鉄(やぶそてつ) (常緑性多年草・シダ植物・オシダ科)
シダ植物は、近年観葉植物として外国産のものが数多く紹介されるようになりました。
日本にも700種以上が自生するとされています。
シダ植物は昔から「わび、さび」の心に通ずるとして庭園に植えられ、実生活の中でも、正月の「ウラジロ」盆栽の「マツバラン、イワヒバ、シノブ」など多くの種類が親しまれています。
本種も「鬼、広葉、山」などがあり、姿、形と興味は尽きません。
鱗(こけ)せむる 谷の岩間に 生いしげる あまたのシダは 見つつたのしも
これは昭和天皇が詠まれた歌です。皆さんも今年は自然観察の中に、シダを取り入れてみてはいかがでしょうか。
きっと新しい世界をご満足いただけると思います。
唐橘(からたちばな) ヤブコウジ科 常緑小低木
あしひきの山橘の色に出でよ
語らひ継ぎて逢ふこともあらむ
万葉集に赤い実の色づきが詠まれています藪柑子(やぶこうじ)の仲間です。本市の林にも自生が見られますが、群生はあまりありません。枝分かれはせず、高さは約60cmになり、やや肉厚の葉は結構大きく10〜15pの披針形で、互生します。夏に散房状の1cm未満の小さな白色の花を咲かせ、実は冬季に赤く色づきます。葉姿や花よりも実物として珍重され、縁起のよい植物として、古来より鉢植えや庭で栽培されてきました。
別名万両と呼ばれていますがご存知でしょうか。
十両(本名 藪柑子)ヤブコウジ科
百両(本名 唐 橘) ヤブコウジ科
千両(本名 同 じ) センリョウ科
万両(本名 同 じ) ヤブコウジ科
裏白(うらじろ) 南天(なんてん) 万両(まんりょう)
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新年明けましておめでとうございます。 お正月の飾りは、門松やしめ縄のほか生花などに、昔ながらの植物がたくさん使われます。その代表はなんと言っても裏白が挙げられます。常緑の多年生羊歯しだで、内または底が白いと言う意味合いから使われるようです。 南天は、メギ科の常緑低木で赤い実が華やかさを添えてくれます。漢方では咳せきを鎮しずめる薬効があるとされます。 また、万両はヤブコウジ科の常緑小低木で赤実と白実のものがあります。 南天、万両共に古典園芸の種であり、たくさんの園芸種や変異種があり、人々の生活に深く関わっているのですが、万葉時代から王朝時代の和歌の中には見つけられませんでした。 一方、俳句の世界では冬の季語として結構よまれています。 総合環境センターには、多種の植物が育っています。 この三種以外に実(み)物も多く、蓮(はす)の実みやサンシュの実など、楽しく散策していただけます。各写真の植物は要らなくなって当センターに持ち込まれたものを育てたものです。 |
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郁 子(むべ) アケビ科 常緑つる性
関東以西に分布し、暖かい山地に生息する本種は、別名トキワアケビとも呼ばれますように、同じ仲間の木通(アケビ)とよく間違われますが、落葉と常緑、果実の裂開有無で判断ができます。
葉は互生、5〜7枚の小葉で形成される掌状複葉は卵形、雌雄同株で花は淡黄緑色、果実はほぼアケビと同じくらいの大きさです。自然食としてお薦めではありませんが、結構甘く、まさに自然の恵みと思われます。
花はともかくとして、木枯らし吹く季節をものともしない常緑の葉姿は、庭木や鉢植え等で鑑賞価値は高いと思われます。
栽培は容易な種ですので、ご家庭にぜひ一鉢いかがでしょうか。うまくすれば今年の秋には自然の味を食する楽しみもご期待いただけそうです。
梅(鳥梅うばい)
バラ科 サクラ属 落葉小高木
梅は以外と知られていませんが、中国原産の樹木で、庭や畑で栽培され、
野生化したものを野梅と呼ぶようです。
全国各地には有名な梅林や梅園がありますが、月ヶ瀬の梅林は、比較的近場ですので、一度出掛けてみてはいかがでしょうか。ちょうど見ごろと思われます。
梅は、万葉の時代に渡来し、中国的雰囲気を漂わせる珍しい花として、当時の文化人たちに楽しまれてきました。万葉集にも多く詠まれています。
わが園に 梅の花散る ひさかたの
天より雪の 流れくるかも 大伴旅人 (おおとものたびと)
ここで面白いことは、万葉集の奈良朝では梅は白梅、平安朝では紅梅と、花を愛でる風潮が強く、古今和歌集等の王朝時代の歌集には、香りを詠んでいるといった特徴があるとされています。
また、ウメはムメとも表されており、後世の句に
梅咲きぬどれがうめやらむめじゃやら 蕪村
などの楽しいものもあるところです。
年配の女性の名前にも、ムメさん、ムメノさんがありますが、梅の意味と考えられます。学名もMumeとなっており、シーボルトのフロラ・ヤポニカで発表されたものです。梅と人とのかかわりは、家紋や季語そして花形など大きなものがあります。
梅は花だけでなく、果実は梅干しや梅酒として利用されますが、未成熟の果実や仁(じん)は薬用とされます。
杏(あんず)・李(すもも)(酸桃)・桃は梅の仲間で、ともに中国から渡来したものです。
譲葉 (ユズリハ) ドウダイグサ科 常緑高木
正月のしめ飾りに、めでたい縁起物として用いられます。
常緑樹ですが、その年の新葉が出揃ってから旧葉がすべて落ちます。このことから、「子が成長してから親は子に譲る。」に例えられ、ダイダイ(橙)を添えることにより「代々譲る」とされています。またお正月の飾りには色々な縁起と工夫がこらされており、炭を「隅々」とするなど、地方によっても千差万別の縁起物があります。
この樹木は古くは王朝時代から人々に親しまれており、枕草子も
ゆづり葉の、いみじうふさやかにつやめき、茎はいとあかく 云々(うんぬん)とあり、
新撰六帖の為家の歌にも、
春ごとに色もかわらぬゆづる葉の 云々(うんぬん)とあります。
また万葉集には
いにしへに 恋ふる鳥かも 弓絃葉(ゆづるは)の と歌われています。
暖地系の山地に生える、高さ4〜5メートルの樹木で、ややもすれば10メートル近い巨木も見られます。特徴は、雌雄異株で大きな葉の跡(葉痕)と、枝先に輪生状の狭長楕円形の10〜20センチの革質の葉を付けます。
5〜6月に前年の枝の葉腋から総状花序(そうじょうかしょ)をだし、花弁も萼弁もない小さな黄緑色の花を(裸花)咲かせます。果実は核果でほぼ球状となります。樹皮と葉は駆虫剤としても使われます。
譲葉や口にふくみて筆はじめ の句のように季語は新年とされます。
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